山彦ことホヲリと結ばれた海神の娘、トヨタマのヒメ。彼女は臨月を迎えて、夫のホヲリにこう言います。「天孫の子を海では産めません。なのでここで産みます」と、鵜の羽を使って産屋を建て始めました。しかし産屋の完成が間に合わず、ヒメは産気づいてしまいます。そこでヒメはホヲリに「元の姿に戻って産みますから、決して見ないで下さい」と頼み、産屋に籠もりました。
しかし、そうは言われてもやはり気になるホヲリは産屋の中を覗いてしまいます。そこにはなんと、大きなワニがのたうち回っています。驚いたホヲリは逃げ出します。夫の裏切りを知ったトヨタマはもう恥ずかしくてここには居られないと、御子を残したまま海に帰ってしまいます。また海の国との境界も閉じてしまいます。